close

教員・修了生の声

教員・修了生の声

修了生の声

理系的思考こそ、自分の強み!
MBA取得で高めた視座と実践力

森昌之さん

Masayuki Mori

森昌之さん

生産現場で痛感した経営知識の必要性

「生産現場で働く人たちのために、自分には何ができるのか」。この想いが、私がMBA取得を目指した原点です。私は大学院で応用生命科学を専門に学び、卒業後は食品メーカーに入社しました。研究開発や生産技術に従事した後、米国拠点に赴任。現地工場で技術導入や改善活動を担当する中で、事業環境の悪化や経営・事業判断への疑問に直面しました。

若いころから、生産現場の方々に育てていただいた経験から、現場で働く人たちに対して親近感と感謝の気持ちを抱いており、いつか自分の力で生産現場の方々に貢献したい、という想いを持ち続けていたのです。しかし、新技術を導入しても、生産現場だけでは解決できない課題があること。また、会社の事業や経営に対して自分の意見を伝えたり、解決策を提案するためのビジネスの共通言語を持ち合わせていないことも痛感したのです。経営を理解し、会社に還元できる人材になるために自分には何ができるのか…と模索し続けた私が行き着いたのが、MBAの取得でした。

アメリカの企業では、理系分野の修士号とビジネス分野の修士号の両方を持つ、いわゆるダブルディグリーの方々がビジネスの第一線で活躍しています。技術と事業、そして経営を融合させる姿を間近で見ることができたのも、MBA取得への大きな刺激になっていました。

当初は、米国のトップスクールでのMBA取得を目指し、準備を進めていました。 しかし、日本への帰任が決定し、ビジネススクールへの進学は現実的ではなくなりました。さらに地方勤務となったことで、通学も難しく、いったんはMBA取得をあきらめかけた時期もありました。そんな中、社内公募制度を通じてBOND-BBTのMBAプログラムを知りました。Study Tourを除き、すべての授業がオンラインで完結するため、業務との両立が可能である点に大きな魅力を感じました。加えて、英語で行われる世界標準の講義内容、ヘルスケア領域の受講者が多くネットワーキングの機会が豊富であることなど、私にとって理想的な学びの環境が揃っていたのです。こうして、私はBOND-BBTへの入学を決意しました。

学びの中で自分のスタイルを確立

入学当初は、「理系出身の自分がビジネスの分野で通用するのか?」という不安がありました。実際、他の受講生が積極的に発言をする様子に圧倒され、「本当にやっていけるだろうか」と感じたこともあります。しかし、学びを重ねるうちに、ビジネスの思考は理系の思考と共通点が多いことに気づきました。仮説を立て、検証し、戦略を構築する──このプロセスは、理系出身の私にとって馴染みのあるアプローチです。
論理的な構造を重視し、ファクトに基づいて発言する私のスタイルは、講義の中でも評価される場面が増えていきました。理系ならではの思考が、自分の強みであり、スタイルとして確立できたことで、「クラスに貢献できている」という実感が得られるようになりました。そうした手応えを感じ始めた頃から、気持ちにも余裕が生まれ、学びに前向きに取り組めるようになったのです。

興味深く、実践性の高いカリキュラム

BOND-BBTの授業は、グローバルかつ実務に直結する、期待通りの内容でした。たとえば、「Accounting for Data Management(ADM)」は、会計知識がなかった私にとって初めての分野でしたが、先生の丁寧な指導のおかげで、会計情報をどのようにビジネスに活用するかという視点まで理解を深めることができ、興味深い分野になりました。特に数字にストーリー性を持たせて捉えるアプローチは、理系出身の私に合っていたと思います。「First in Class」を取得できたことも自信につながりました。

「Global Business Leadership」では、多様な国籍・立場の受講生とともに、グローバルな仕事の進め方を学びました。オンラインながらインタラクティブな講義が展開され、とても楽しく、充実した内容でした。

グループワークで発見した自分の新たな強み

BOND-BBTでは、複数の受講者とチームを組み、プロジェクトを進める実践的なグループワークが多数あります。メンバーの人柄やパーソナリティを深く知ることができたことで、コミュニケーション力を高めることができました。

グループワークは、自分の弱点を強みとして捉え直す貴重な機会でもありました。私は、内向的な性格で、議論の中で積極的に発言するタイプではなく、議論の流れを俯瞰し、論点がずれていると感じたときには、タイミングをみて整理する役割を担っていました。一方で、メンバーの表情や声のトーンなど、ちょっとした変化に気がつくことができました。こうした相手の心理的な状態を察することが得意である性質が、多様なバックグラウンドを持つメンバー間のコミュニケーションを円滑にする上で大いに役立ったのです。

一般的に、内向的であることは弱点に思われがちです。しかし、細部への気づきや環境の変化に対する高い感受性、鋭い洞察力は、組織において重要な力になります。自分では「弱み」と思っていたことが、強みに変えられるという気づきも、MBAでの大切な学びであったと感じています。

教授と人としてつながり合えたStudy Tour

オンライン中心の学びを続ける中で、Study Tourは特別な意味を持つ機会となりました。これまで画面越しに接していた仲間や教授と直接言葉を交わすことで、関係性がより立体的になり、学びの質も高まったと思います。特に印象的だったのは、教授との交流です。事前に教授にアポイントメントをとり、ランチをご一緒することができました。互いのバックグラウンドや価値観について語り合う中で、「先生と学生」という関係を超えた、人間同士の対話が生まれたのは貴重でした。

「Effective Negotiation」の授業では、オーストラリア人の受講生とペアを組むことになり、言語のハンデも楽しみながら、理論に基づいた実践的な交渉を行いました。その結果、「Tough Negotiator」と評価され、お互いをリスペクトする関係を築けたことは、今でも心に残る思い出です。

1回目のStudy Tourはコロナ禍だったので渡豪できませんでしたが、2回目のStudy Tourでは家族も同行しました。海外の大学の雰囲気を子どもにも体験してもらい、「お父さんはこういう場所で学んでいるんだ」という実感を持ってもらいたかった気持ちもあります。Study Tourは、家族や仲間、教員とのつながりや信頼を築く機会として、私にとって大きな意味を持つ体験となりました。

MBAの学びが導いたキャリアアップ

BOND-BBTでの学びは、私にとっては「使っていない日はない」と感じるほど、日々の業務のあらゆる場面で活かされています。さらに、私のキャリアにも大きな転機をもたらしました。 修了時点では、国内の生産現場を担当していましたが、その後、異なる分野であるM&A部門へ異動することになりました。証券会社や戦略コンサルティングファーム出身のプロフェッショナルが多く在籍する環境。当初はプレッシャーも不安もありましたが、BOND-BBTで培った知識と思考力があったからこそ、未経験の分野でも一定の貢献ができたと実感しています。
さらに、2025年からは経営企画部門への異動が決まりました。より経営に近い立場で、自らの視点と判断力を活かせる機会を得ることができました。技術者としてのバックグラウンドに加え、経営の言語を身につけたことで、社内で求められる役割も確実に変化していると感じています。

修了後も続く、BOND大学と仲間たち

同期や他の修了生との関係は、今も途切れることなく続いています。定期的に会う機会を作り、情報交換をしたり、飲み会やアウトドア活動を楽しんだりと家族ぐるみの交流もあります。修了生同士のご縁で、高校を訪問して、ゲスト講演を行う機会もありました。BOND-BBTの修了生たちは、ビジネスや不動産など幅広い分野に関心を持ち、常に学び続ける向上心旺盛な人たちばかりです。交流を通じて新たな知識を得る機会が増えるのもありがたく、価値観を共有できる仲間と信頼関係を構築できるのも、BOND-BBTの魅力だといえます。
また、BOND-BBTとの縁で、BOND大学ビジネススクールの現地学生がJapan Study Tourで来日された際には、ワークショップへの参加や企業訪問の同行・アテンドといった形で、交流の機会をいただきました。現地の学生と接する機会は貴重な体験で、卒業後も大学とのつながりが続いていることも嬉しく感じています。

ビジネスの視座の獲得と視野の広がり

MBA取得を通じて得られた成果の一つは、「ビジネスの共通言語」を修得できたことです。戦略、会計、ファイナンス、組織論──それぞれの分野で使われる概念や専門用語を理解できるようになったことで、社内外の関係者と同じ目線で建設的な議論ができるようになりました。以前は、そうした言語体系が存在することすら意識していなかったので、振り返ると自分自身の成長も実感しています。

もう一つの成果は、マインドセットの変化です。かつては、ビジネスを合理的で“ドライ”なものと捉えていましたが、実際には人との関係性や組織の動きによって成り立つ、非常に“ウェット”な生き物であると感じるようになりました。経営の視座を得たことで、企業を内側からだけでなく、マクロ・ミクロ両面から客観的に理解する力が身につき、他社との関係性や市場への影響も含めた広い視野で物事を捉えられるようになりました。

理系を強みに新たなチャレンジを

理系を専門とする人の中には、ビジネスに苦手意識を持つ人も少なくないでしょう。しかし、海外では、「理系=技術職」「文系=ビジネス職」といった分類はあまりみられません。 実際、世界的なテック企業やヘルスケア企業の経営陣には、理系出身者が数多く名を連ねています。彼らは、技術とビジネスの両方に精通し、事業戦略や経営判断を自らの専門性に基づいて行っています。

技術的な知見を持ちながら、経営の視点で意思決定を行う・・・理系出身者が経営の場で活躍することは、むしろ自然な流れではないでしょうか。私も今では「理系だからこそできることがある」という確信を持つようになりました。専門性を活かしながら、事業全体を俯瞰する力を身につける。そのための手段として、MBA取得は有効です。もし壁にぶつかったとしても、それは新しい分野に挑んでいる証拠であり、成長のチャンス!ぜひ自信を持ってチャレンジしてほしいと思います。

修了生の声 一覧