もしも、あなたが The Coca-Cola CompanyのCEOならば【RTOCS®】
「RTOCS®(Real Time Online Case Study)」をご存知でしょうか?「RTOCS®」とは、Bond-BBT MBAプログラムをBOND大学と共同で運営する株式会社ビジネス・ブレークスルーが独自に開発した教育メソッドです。国内外の経営者、リーダーが取り組んでいる現在進行形の課題をケースとして取り上げ、「自分がその組織のリーダーであればどのような決断を下すか」を経営者、リーダーの視点で考察し、「意思決定」に至る力を鍛錬。前例のない予測不可能な現代社会において時代の流れを読み取り、進むべき道を見極め、切り拓くことのできるビジネスリーダーの育成を目指しています。
本プログラムでは大前研一が担当する「戦略とイノベーション Part A(Strategy and Innovation Part A)」で取り組む「RTOCS®」。一部のケースが書籍化され、Amazon等で販売されています。
今回は、書籍版「RTOCS®」で取り上げられるケースの一部をご紹介していきたいと思います。1つのケースにおいても解説をすべてお見せすることができないのが残念ではありますが、「RTOCS®」の一端を垣間見ることができるのではないでしょうか。お時間があるときにぜひご覧ください。
最初にご紹介するケースは、The Coca-Cola Companyです。詳細については、早速記事をご覧ください!
あなたがThe Coca-Cola CompanyのCEOならば健康志向の高まりから炭酸離れが進むなか、どのような戦略で対処するか?
【BBT-Analyze】大前研一はこう考える~もしも私がザ コカ・コーラカンパニー CEOだったら~
◆加速する炭酸離れ、飛躍するミネラルウォーター
#健康志向、ソーダ税…米国の炭酸飲料に吹く逆風
昨今、米国では健康志向の高まりによる「炭酸離れ」が顕著です。どれほど炭酸離れが進んでいるかですが、今年(2015年)3月5日の朝日新聞では、米国で「コカ・コーラ」をはじめとする炭酸飲料の販売量が9年連続で減少しているという記事が組まれました。肥満対策の一環として炭酸飲料に課税する「ソーダ税 」も広がりつつあり、飲料各社が炭酸からの脱却を図らざるを得ない状況です。
米国での炭酸離れを裏付けるデータがあります。図‐1は米国の清涼飲料の市場推移ですが、まずミネラルウォーターの販売が伸びていることがはっきりとわかります。「ゲータレード」などのスポーツ飲料も微増ながら伸長している。一方、果汁飲料の販売は徐々に減少傾向にあり、目に見えて大きく減少しているのが炭酸飲料です。
#先進国市場においては炭酸飲料や果汁飲料が低迷
ミネラルウォーターの躍進は、米国に限ったことではありません。図‐2では、先進国・地域の清涼飲料の市場推移を示していますが、北米市場では炭酸飲料や果汁飲料といった、甘味系飲料が苦戦している一方、ミネラルウォーターが急増し、双方がほぼ同じレベルまできています。また西欧市場でも炭酸・果汁飲料が低迷しているなか、圧倒的に強いのがミネラルウォーターです。そのミネラルウォーターにしても、炭酸入りではないものが主流となっています。
では日本市場の状況はどうかというと、確かにミネラルウォーターは伸びていますが、他の先進国市場との明確な違いは茶系飲料の消費量が最も大きく、更にはボトル入りコーヒーも大きなシェアを持っている点です。図-2では便宜上「その他」としてまとめていますが、茶系及びコーヒー飲料が大きなシェアを持つのが日本市場の特徴です。
#ミネラルウォーターの躍進は新興国市場でも
新興国・地域ではどうでしょうか。図‐3を見ると、こちらでもミネラルウォーターが急増しているのがわかります。アジア・太平洋地域ではミネラルウォーターが群を抜いて上昇中です。中南米市場では、炭酸飲料市場が最大で成長も続けていますが、ミネラルウォーターの成長速度が炭酸飲料を上回っています。そして中東・アフリカ市場でも、ミネラルウォーターが大幅に伸びています。
これらを加味し、図‐4の世界の清涼飲料市場推移を見て言えることは、世界的にミネラルウォーターが非常に伸びているということです。トータルで均せば炭酸飲料や果汁飲料も伸びてはいますが、微増という程度に留まります。
◆コカ・コーラが二期連続で減収減益に
#清涼飲料界の王者
世界の清涼飲料市場が時代のニーズとともに大きく変化するなかにおいても、コカ・コーラが圧倒的な世界トップの清涼飲料メーカーであることに変わりはありません。
図−5は世界の清涼飲料メーカーの出荷量ですが、コカ・コーラは1,138億リットルで独走状態。2位のPepsiCoに倍以上の差をつけています。
しかしながら、図−6のコカ・コーラの業績推移を見ると、ここ直近で二期連続の減収減益となっていることがわかります。売上高は400億ドル以上、つまり4兆円以上あり、営業利益としても1兆円超とまだ余裕はありますが、成長に陰りが見えています。
この売上高を内訳で見ると(図−7)、半分以上は海外市場におけるものです。また、2010年には北米の系列ボトラー「コカ・コーラ・エンタープライズ」を連結子会社化したことで見掛けの売上高は大きく伸びています。
#市場ニーズと大きく乖離したCoca-Coleの製品ポートフォリオ
なぜ、そこまで圧倒的な強さを得たコカ・コーラが、ここに来て減収減益を続けているのか。
図−8でコカ・コーラの製品ポートフォリオを見てみましょう。
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各ケースの“今”について、どのような課題を見い出し、あなたは何を導き出しますか?(Bond-BBT MBA事務局より)今回のケースをご覧になられて、皆様いかがでしたでしょうか?書籍からの転載ということもあり、最後の結論についてこの場でご紹介することができず心苦しいところではございますが、「RTOCS®」に取り組む際、私どもは「皆様ならどうするか?」という点を大切にしております。
大前研一が述べている解説が正解というわけではございません。あくまでも、論拠に基づいて考え抜いた“ひとつの解”です。その思考プロセスから考え方や視点などを学び、ご自身でその時々の“最適解”を導き出せる力を鍛えていっていただきたいと考えております。
上記のプロセスをご覧いただき、皆様でしたら最終的にどのような結論を導かれますでしょうか。ぜひ一度、お時間をとって考えてみてください。
そして、ご自身の考えと大前の考えを比較してさらに学びを深めたいとお考えの方は、よろしければぜひ書籍をご購入いただければと存じます。