「成果を出すためのチームのマネジメント法 ~決められた戦略に対して、リーダーはどのように成果を出していくのか~」
概要
林 晴子(2010年卒業)
日本アイ・ビー・エム株式会社 アーキテクト
2002年日本アイ・ビー・エム株式会社入社後、アウトソーシングサービス分野にて、ITサービスマネジメントのコンサルティングや設計、構築を担当。 本来目に見えないサービスの価値を可視化し、ビジネス目標の達成に向けた改善計画立案やその実現に取り組んでいる。業界標準の最上位資格であるITIL®Manager、ITIL®Expert取得。 2010年6月Bond大学大学院卒業、MBA取得。
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仕事がうまくいっていますか?
絶え間なく変化する現代のビジネス環境においては、 なかなか狙ったとおりの成果を出しにくくなっています。
では、どうすればいいでしょうか?
外部環境を変えることは困難ですから、ご自身のリードする組織に目を向け、メンバーを効果的にマネジメントすることがいっそう必要となってきています。これを実践する方法として、Bond-BBT MBAで学ぶ、Management Control Systems(MCS)という 方法論が活用できます。
MCSとは
MCSは、組織や人に焦点をあてて、立案された経営戦略を現場に落とし込んで実行し、業績につなげていくためのフレームワークです。
MCSの特徴としては、原因とその対策方法をモデル化しているため、さまざまな現場で適用できます。また、経営手法として多くの企業で取り入れられており、実績が豊富です。
MCSの適用事例
企業は、戦略分野と業務の遂行、アプリケーションに集中をしており、それ以外の業務である ITシステム・インフラはアウトソーシングをしています。今回、そのインフラにおいて 問題が発生したために、それらを再発防止する対応策の立案が求められました。
幾つものステークホルダーが存在し、それぞれの組織構造・文化・人がばらばらだったため、組織間での業務処理や意思疎通の部分をスムーズに連携させる必要がありました。
課題へのアプローチ
ITIL®という、ITサービスマネジメントのフレームワークを活用しました。ただ、ITILは”人”の側面では現場で適用する方法論の整備が不十分なため、その部分をMCSで補完し課題解決に取り組みました。
※ITILとは、Process, People, Product, Partner の4つのPを切り口に効果的で効率的なITサービスの管理を行うためのフレームワークです。
※ITILは英国The Minister for the Cabinet Officeの登録商標および共同体登録商標であって、米国特許商標庁にて登録されています。
課題解決の進め方
ITILにあるサービス改善のアプローチ考え方にのっとり、課題の解決を進めました。具体的には、ビジョンを明確にした上で、現状とのギャップを正しく認識をし、 そのギャップを埋めるための実行計画を立てていくことになります。
課題の分析
MCSの考えでは、組織が目的通りに動かない原因を3つに分類しています。
②Personal Limitation 知っていてもスキルがなくてできない
③Lack of Motivation できるのに、モチベーションがないためにやらない
この考えを利用して、問題が発生した原因に対して課題を分類し分析しました。
対策の立案
MCSの考えでは、3つのコントロール方法を提唱しています。
②Action Control
③People Control
上記で分類したそれぞれの課題に対してコントロールを紐づけることで対応策を考えました。その際は、コントロール同士の相性や、組織の状況を考慮して対応策を検討していきました。
優先順位をつける
問題を整理していくと、多くのアクションが生まれてきます。 ただ、これら全てを同時に実行することは効率的でないため、仕事の優先順位をつけていきました。受容性(やりやすさ)と重要度(効果の大きさ)の観点からみて、優先順位を決めます。
②中・長期な施策(受容性低、重要度中)
③早期に立ち上げて長期に実現する施策(受容性低、重要度高)
③に関しては、テクノロジー面で難易度が高いもの、多くの資金が必要なものなどが該当します。課題解決の重要性が高いのであきらめることなく計画的に取り組むようにしています。
これらの優先順位を明確にして社内で共有することで、コンセンサスが取れて実行しやすくなります。
このプロジェクトの結果
ITILとMCSを使用したことで、組織の管理体制が整い、ビジョンに向かって改善ができる仕組みが一通りできあがります。
MCSを活用したことで、以下の利点がありました。
②シンプルな構造にモデル化されているため、経営層だけでなく現場にも浸透しやすい。
MCSを使うと良いこと
MCSを活用すると、組織内の人に関する課題を分かりやすく整理でき、課題とロジカルに結びついた形で対策が立案できるため、組織の成果を高める方法論として活用しやすいと考えています。 MCSを知っておくことで、泥臭い現場を目の前にしたときでも、解決の方向性と、 心の余裕をもって問題に取り組んでいけると思います。
当日の資料ダウンロード
https://bondmba.bbt757.com/pdf/bondbbtmbagraduate20120324.pdf