【第1部】21世紀に稼ぐ力のある人材とは?(修了生/中田晃さん)
まずご紹介するのは、修了生である中田晃さんによるセッション「グローバルで「稼ぐ力」の鍛え方 ~子育て世代の為の新しい働き方入門~」の内容です。中田さんは、2011年に米国にて起業・独立されました。前年2010年に米国ファンド外部株主の付託を受け、3期連続赤字の米国事業会社(生産財企業)に経営再建の担い手(CFOポジション)として飛び込み、同社を企業再生(Turnaround)。その後、同社を買い取り、新会社を設立してCEOに就任しました。その過程で米国市場にて更なる資金調達を行い、競合他社をM&Aし新規事業を取り込むことにより自らの企業を成長させてきました。そして現在は米国株式上場(NYSE)を目指し準備中です。
このように米国で活躍されている中田さんから見て、21世紀に稼ぐ力のある人材とはどのようなものなのでしょうか?ご自身の経験談も交えながらお話頂きました。
ストリートスマートであれ! 私が乗り越えてきた3つの修羅場。
私はこれまで仕事をしてくる中で、大きく分けて3つの修羅場を経験してきました。
第一の修羅場は、日系企業・中米パナマ現地法人勤務時代(1988年)。自分が採用した部下(女性)に仕事において逆恨みをされ、毒を盛られて大変な目に遭いました。
第二の修羅場は、南米ブラジル現地法人でCFOとしての勤務時代(1999年)。当時のブラジルは、ハイパー・インフレの後遺症が残っており、経済環境と治安は劣悪の状況でした。私はCFOとしてのミッションは、ハイパー・インフレ後の経営再建であり、大志を抱き赴任したのですが、追い打ちをかける様に現地通貨の50%切り下げ(対米ドル)が二度起こり、経済環境はさらに悪化しました。こうした外部環境の連続変化に対し、私なりに策を打ったのですが、目に見えた成果が全く出ず長時間労働ばかりが続き、疲労困憊しました。
そして第三の修羅場は、米国で起業・独立して企業買収をしたときの話(2011年)。赤字企業を買収して経営の改革を進めていましたが、改革の過程で抵抗勢力との戦いが勃発。この抵抗勢力は、改革プロジェクトの進行を妨げる最大の障害物でした。彼らは、したくないことはしない。陰でこそこそ抵抗を試みる、表立って妨害する。といったありとあらゆるやり方で私の試みを挫折させようとしてきました。抵抗勢力の存在と言うのは、事前に予想するのが難しく、先手を打ちづらいものでした。
よく「修羅場体験を通して自信をもった」という体験が、美談として語られることがありますが、自信なんてつくどころではありませんよ。私自身、人事ガイドブック等には記載されていない社内でのパワハラ(英語での)や社外での嫌がらせを受け、精神、肉体の両面でかなり追い込まれていた様です。
そのような中でも私は、改革の地図(青写真)を描き、改革の後には報われる未来があることを従業員に説明し続け、社員のやる気を引き出し、イニシアティブ(優先課題への取り組み)に勢いや弾みをつけることに全力を注ぎました。究極のゴール(赤字会社から黒字会社への転換)に短期間で到達する為です。私は、リーダーには粘り強く難局を突破し、目的地に向かう知恵と突破力が求められると思います。いわゆる「ストリートスマート」(街頭を生き抜く力)ではないでしょうか?世界に出て経営の成果を出す為には、こうした能力は不可欠だと感じています。
低欲望社会において21世紀に稼げる力のある人材とは?プア充で満足しないこと。Ambitionを持って世界で戦える尖った異才たれ!
これは、大前研一先生による言葉です。私はこれを、ストリートスマートとも理解しました。ストリートスマートさを兼ね備えた人材。そう言った人材こそ21世紀に稼げる力を手にするのではないでしょうか?
なぜ、そのような大変なときにBond-BBT MBAで学ぼうと考えたか。
3つ理由があります。
1つ目の理由は、学位の大切さを感じたことです。会社で25年間働いていた当時は、MBAを取得する人は偉くなれないと言われていた時代でした。会社選抜のトップ人材が、企業派遣で海外ビジネススクールに行くという制度はあったものの、留学から戻ってきた人は、軒並みコンサルティング・ファームに転職するなどといった状況でした。当時、私は、そういう先輩は尊敬できず、よってMBA自体に関心が持てませんでした。一方で、米国での滞在年数が通算10年を超え、社外に目を向けるようになると、他社のExecutive達は、殆どが最低2つ位の学位を持っていることに気づきました。例えば、MBAと弁護士資格、MBAとCPAと言った具合です。確かにそういった人達の一部には、抜群に優れた方が多かったです。
私はCPA資格(NY州営業免許)を持っていましたが、トップを目指すならば、CPAだけでは不十分である、MBAというしっかりしたCredentialを持ちたいと考えるに至りました。
2つ目の理由は、何といっても大前先生の抜群の知名度と世界でのご活躍実績です。また、大前先生が「企業戦略」クラスで直接教鞭をとられているという話も聞き、是非受けたいと思いました。さらに、私は英語圏で仕事をしていますので、英語でのMBAプログラムという点も気に入りました。
3つ目の理由は、ビジネススクールの国際認証であるAACSBがあったこと(当時は取得申請中)。この点、事前に確かめるべく、米国から日本の事務局に電話問い合わせしたのですが、担当者から“取得申請中”と明確な即答あり。こういったやりとりを通し、日本側のサポート体制にも信頼を感じました。
このようにして中田さんは駐在員時代、そしてご自身で起業・独立をされてから海外で数々の修羅場を乗り越え、知恵を使い、力をつけながら事業で成果を上げてこられました。
そして現在、ご自身が人生を賭けて世界で証明したいことを実現するために、米国で自らの企業の経営に尽力をされていらっしゃいます。
中田さんが証明されたいもの。それは何なのでしょうか?次回はその点にフォーカスし、中田さんが起業をされてから現在に至るまでの道筋をご紹介したいと思います。
▼続きはこちら
【第2部】なぜ米国で起業をしたのか?