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【第2部】人と場所、偶然の巡り会わせで辿り着いたスービックでの起業【走り始めた起業家たち】

先週からスタートした、起業をされて数年以内の方々をご紹介するシリーズ「走り始めた起業家たち」。記念すべき最初のスピーカーとして、フィリピンのスービックで短期語学留学のための英会話スクール「iYES(アイイエス)」を起業されたBond-BBT MBAプログラム8期生の中沢宏行さんをご紹介しています。

先週は、中沢さんが取り組まれているiYESの事業内容のご紹介、そしてそもそもスービックがどのような場所なのかについて主にお伝えいたしました。第2部である今回は、中沢さんの起業に至るまでの道にフォーカスしてご紹介したいと思います。

中沢さんはなぜ、起業をされるに至ったのでしょうか?

▼これまでの記事はこちら
英会話学校のその先へ ~日本とフィリピンの架け橋になるために、スービックに英会話学校を設立!~

そもそもフィリピンに赴くことになった理由は何なのでしょうか?

そもそも私がフィリピンに行くきっかけになったのは、その前に勤めていたドイツの半導体メーカーが倒産してしまったこと。外資系企業への憧れで、Bond-BBT MBAプログラム修了後にある日本の大手メーカーから台湾系外資を経て、そのドイツ系会社に転職しました。でも、その後に倒産。倒産後は3か月間、失業状態。給付金を得ながら職を探していました。

その中で、自身のビジョン・メイキングをするセミナーに参加したのですが、その頃から「起業」はひとつのキーワードとして自分の中にありました。

ただ、一方では、「どうせ起業できないよね、お前は。」と言うもう一人の自分がいることに気が付いていました。「意気地も、お金もないよね。」と言っている自分がいるんです。悩んだ結果、そのときは起業をせずに中小企業に就職。フィリピンにある工場のマネジメントとして単独、赴任することになりました。

正直なところ、積極的にこれだ!と思って選択したわけではありませんでした。ところが、フィリピンに実際に行ってみると、この会社に入るために自分はBond-BBT MBAで学んで、外資系企業に行ったりして今に至ったのだと感じました。スービックで工場のマネジメントをやらせてもらうことで、Bond-BBT MBAで学んだことが組織運営の役に立ち、英語で経理部門の人と仕事をする上でも役立ちました。学んだことを総動員して仕事をすることができる。本当に充実していましたね。とても良い経験でした。

その中で、就職した企業のオーナーのご子息から、フィリピンに詳しい自分に新規事業立ち上げの声がかかりました。この出会いが、iYES起業の第一歩につながっていったのです。

声をかけられて、いかがでしたか?

起業に関心があった自分にとって、これが最初で最後のチャンスだと思いましたね。スービックのスターバックスでその話を聞いたときに、即決しました。そういった意味では考えなしかもしれません(笑)。

求職中にビジョン・メイキングをしたときに自分が考えたこととつながるなと思ったということもあります。英語を学ぶ場をつくるというだけでなく、マネジメントトレーニングなども実際に身につけられる場にすることができればなと。

このような背景もあり、共同経営者として事業を立ち上げました。私はCOOとして現場をとりまとめていましたが、パートナーがある事業プロジェクトでセブに移ることになり、5月からはCEOとしてiYESの一切をマネージすることになっています。

英語研修クラス+インターン、独自教科書などに着眼して事業を立ち上げた狙いは何ですか?

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先に消去法的なことを言うと、フィリピンによくある語学留学と同じようなことをしても、スービックには誰も来てくれないなと。少し遠いですし。自分のこれまでのキャリアを考えたときに、ビジネスについてもじっくり落ち着いて学べるようにしたら差別化を図れるのではないかと思いました。インターンも決して現地企業に任せっぱなしで放置するのではなく、自分たちが関わってビジネスについてアドバイスすることで付加価値をつけようと考えました。

そのアイデアからスタートして、自分たちが実現したい学ぶ環境を作り上げるためには、独自テキストやホテル滞在が必要だと考えました。独自テキストは、英会話学校や個人レッスンを10年以上日本人に教えてきた実績をもとに作り上げたいというメンバーが担当しました。彼にとっても良いチャンスだったのではないかと思います。内容は日本人を意識したもの。発音などのパートはないですが、その代りこの内容を学ぶことを通してミーティングでファシリテーションができるようになるなど、シーンを想定してその分野のスキルを磨くことができるというトレーニング内容でやっています。

その強みを活かし、企業派遣では企業の要望に応じたオリジナルテキストも作成可能です。お客様の業界などに応じて柔軟に作ることができる。今は、それをいかに知ってもらうかということが大切ですね。

スービックでの起業、大変だったことも多かったと思います。何か印象的なエピソードがありますか?

急な方向転換ですかね。来年から仕事をする予定だったパートナー企業から急に方針転換の話が来て、それに打ち手をどうするか考える必要がありました。もちろん起業したてだと、資金繰りはやはり課題。緻密に資金繰りを計算したとしても、なかなかその通りにはいかないものです。不測の事態の中で資金繰りをどうするかが鍵。リスクヘッジの重要性を痛感することとなりました。考えたらすぐ行動。走りながら考えることは不可欠ですね。

他に苦労している点としては、マーケティングですかね。スービックで語学留学というイメージがまだありません。留学エージェントに、スービックに留学をすると知り合いが話したら、「スービックでそんなことできないでしょう」と言われたと聞きました。まだ、スービックで語学留学ができるということが知られていないのですよ。逆に言うと、それが知れていくことで、留学エージェントがiYESを紹介してくれることもあるわけですね。

最近、ようやくそのような引き合いも増えてきました。海外で働きたい意欲の高い学生にアプローチをして、実績もできてきています。これを皮切りに、どんどん仕掛けていきたいです。独自のポジションを打ち出して。

Bond-BBT MBAで学んだことはどう活きているか?(Bond-BBT MBA事務局より)様々な偶然の巡り会わせで起業をするに至った中沢さん。点と点だったものがつながって線となり、面となってiYES起業へと至りました。偶然を惹きつけてチャンスに変えることができたのも、中沢さんが普段から準備をされてきたからではないでしょうか(そもそも、偶然ではなく必然だったのかもしれませんね)。

多くの苦労を乗り越え、ご自身が実現したいことに向けて突き進む姿がインタビューをしていてとても印象的でした。

それでは、その過程でBond-BBT MBAでの学びがどのように活きていらっしゃるのでしょうか?最終回となる次回は、その点に加えて中沢さんの今後の展望についてもご紹介したいと思います。

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英会話学校のその先へ ~日本とフィリピンの架け橋になるために、スービックに英会話学校を設立!~

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