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【第2部】なぜ米国で起業をしたのか?(修了生/中田晃さん)

前回記事でご紹介したように、ご自身のキャリアで直面した3つの修羅場を乗り越えて成果を上げてきた中田さん。

現在は、自ら興した会社を米国株式上場(NYSE)させるべく準備を進めていらっしゃいます。中田さんはなぜ、米国で起業することにされたのでしょうか?何が中田さんを突き動かしたのでしょうか?

▼前回の記事はこちら
【第1部】21世紀に稼ぐ力のある人材とは?

なぜ、私は米国で起業をしようと考えたのか?

私は、アメリカでどうしてもやりたいことがありました。

第一は、私が米国で約10年、営業経験した「高付加価値・生産財(Capital Equipment)ビジネス」を更に探求したいという強い思い。これを市場に供給することにより、米国という一国のGDP成長に寄与したいと考えていたこと。

第二は、「人材に関する私の信念」を実現したいと考えていたこと。経理・財務関係者は、人材を単純に「コスト」と考える傾向があるように思えます。私も経理・財務の出身ですが、そう習いました。然しながらその後、複数回の海外勤務を経て、数百人の部下をマネジメントする立場になり、人事を経験するようになってからは、人材を単純にコストと割り切る考えに、違和感を感ずるようになりました。そうではなく「人材こそ付加価値を生み出す知的資本である」と考えるに至りました。そして、自分のそうした人材への考えを、自社経営方針として高らかに謳う「理想の会社」を米国に創りたいと考えた訳です。

何故、アメリカで起業だったのか?と良く聞かれます。理由は二つあります。

第一は、起業・独立を決断する迄に、通算14年間の米国ビジネス経験があったこと。この14年中に、私はCFO職を二度、さらに社長職を一度経験致しました。つまり「財務」と「法人営業」という2つの異なる「職能的専門性」を身に着けた事が自信に繋がり、私の決断を後押ししました。

第二は、当時はリーマンショック後で、生産財関連会社(当社の前身)を買い取るには安く良いタイミングでした。安いと言っても日本円換算で数億円になりますが。

なお、私の会社を簡単に紹介させていただきます。新会社設立:2011年10月1日、資本金:$15M(約18億円)。事業内容は、米国における特殊設備投資機器の製造・販売・サービス。本社は米国CA州Newport Beach。エンドユーザーは、NASA-JPL、Boeing、米国連邦研究所傘下の研究開発部門などです。事業規模は2014年12月期(実績)$585M(約702億円)。従業員550名(12/31/2015現在)で非上場です。

米国にて起業前の前職(ポジション)は、日系企業、米国現地法人の社長&CEO、兼日本本社の執行役員(ファイナンス担当)でした。日系企業は、自分の起業準備の為、米国にて退職しました。日本に帰任後の話もオファーされましたが、自分の夢実現の為、丁重に断りました。

2011年に、赤字の米国資本・生産財企業を$4M(約4.4億円)で買収。その後、財務&人事リストラなど短期的(1年以内を目処)成果を見込めるところから大胆に着手しました。これにより、P/L上は、赤字経営から黒字経営への転化となりました。

また同年中に、米国市場で$8M(約8.8億円)の事業資金調達を行い、実質次年度となる2012年には、競合他社のM&Aを行いました。当時の経営判断として、単なるリストラ効果で見かけ上、黒字化しただけでは不十分、将来の継続的な利益の源泉となる新規事業(種)を早いタイミングで仕込む必要があると考えた訳です。

勿論、販売についてもテコ入れを行い、米国連邦研究所マネジメント下の4つの研究開発部門より大口新規受注を獲得。何とか成長へのステップを歩み始めました。

それを実現するために、どのように行動をしたのか?

一方、社員の意識改革と言う点では、最大の抵抗勢力であった8名の役員全員に2012年末までに退職してもらい、新しい役員への総入れ替えを断行しました。これにより取締役会のコンピテンシーは上がり、また企業文化も変わり始めました。

また現在は、優秀な従業員を長く会社に繋ぎとめるRetention Strategyの一環として、従業員を対象にした401kを作成中です。

この様に私の新会社設立は、赤字会社を買い取り企業再生させるという作業工程からスタートしました。この一番大変なスタートアップの時期、私は計3名からなるプロジェクト・チームをつくり、戦略作成と実行にあたりました。私が統括責任者、残り2名は、私の前職(米国現地法人)から引っ張ってきました。1名は、豊富な訴訟・紛争解決経験を持つ弁護士(男性アメリカ人)、もう1名は人事スペシャリスト(女性アメリカ人)です。彼らの貢献無くして今日の成功はありません。現在弊社の取締役に就任してもらっています。

最後に、私が世界で実現したいもの。それは二つあります。第一は、事業アイデアです。これは既にOn-goingで動いています。第二は、自分のCredibility/会社のCredibilityです。其の為に、米国株式上場(NYSE)を実現すべく現在、準備を進めています。

中田さんを突き動かす、根っこにある想いは何なのか?(Bond-BBT MBA事務局より)

米国でチャレンジを続け、飛躍をされていく中田さん。ご自身が実現したいことを実現すべく力強く突き進まれる姿から学ばせていただくことが本当に多くあります。

その信念の根っこにはある想いがあります。それは何なのでしょうか?次回は、その点にフォーカスしたいと思います。

▼続きはこちら
【第3部】夢を持ち続けて努力することが如何に大切か。

▼前回の記事はこちら
【第1部】21世紀に稼ぐ力のある人材とは?

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