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【第4部】グローバルで力を発揮するために磨き上げるべき能力とは?(修了生/熊野里枝子さん)

ピアニストから転身しグローバル製薬会社のプロジェクトマネージャーの仕事をされている熊野さん。そのような異色なキャリアを歩んでこられたからこそ見えてきた、グローバルで活躍するために必要だと感じる力があるそうです。それはいったいどのような力なのでしょうか?

連載の最終回は、熊野さんがお考えになるグローバルで活躍するために必要な力をご紹介したいと思います。

▼これまでの記事はこちら
【第1部】なぜ、ピアニストからグローバル製薬会社のプロジェクトマネージャーに転身したのか?
【第2部】軸がぶれない人になるためには?
【第3部】ポジティブ心理学から学んだ「幸福」であるということ。

グローバルで力を発揮するために磨き上げるべき能力とは?

今回のイベントは「Global Leadership Forum 2015」ということですので、最後にこのような異色のキャリアを歩んできた私から見た、グローバルに活躍するために必要であり磨き続けるべきと考える力を3つ挙げさせていただきます。

①自分の強い信念を持ちそれを磨き続けること
②強くしなやかなリーダーシップ
③異文化コミュニケーション能力

自分の強い信念を持ちそれを磨き続けること

強い信念を持ち続けていられるかどうかがそのままその人の人間力となると考えます。今回ご紹介させていただいた3つの学びのうちの1つ目、「軸がぶれない人になるためには?」(第2部掲載)でもお話しした通りで、欧米社会では当たり前のように幼少期より「Be yourself」と言われピカピカに信念を磨きあげてから社会人になっています。

一方、日本では「Hold your own」と言われながら育った結果、自分なりの信念を磨きあげることなく大人になる傾向があります。このような社会人が通用する社会は、空気を読み上司の機嫌を損なわないよう行動することを重んじている日本に閉じられた社会だけなのではないでしょうか。強い信念をもってそれを生涯磨き続けることは、仕事だけではなく私たちの人生そのものに必ず大きな福を与えてくれるでしょう。

強くしなやかなリーダーシップ

グローバルチームにいると同じ会社でも宗教や考え方、ポジション、社歴もしくは付き合いの長い短い、濃い薄いなど千差万別のメンバーに囲まれ仕事をします。そんな中、自分の意図する方向にチームを持っていくには、強いリーダーシップが必要で、そのリーダーシップが発揮できない場合はグローバルチーム内ではメンバーとしても認識されないでしょう。ここぞという時はチームのハートとマインドに火をつけられるかどうかが重要だと考えます。そしてこういったことはリーダーシップの技術的側面を考える以前に日々の仕事に対する姿勢や信念も問われているのだと考えています。

Bond-BBT MBAでは、たくさんのリーダーシップ論を様々な講座を通して学びました。マネジャーとリーダーの違いから始まり、Authoritarian, Democratic, Laissez-Faire, Transactional, Transformationalなど様々な型があり、それぞれの長所、短所をわきまえた使い方があること、その時々の環境や使う相手に応じてリーダーシップの型を変える必要があることなど。時代に合わせ定期的にこれらの知識をアップデートし、リーダーシップに必要な知識と技術を鍛えることも大切です。変化を恐れず、時々の状況に合わせて、しなやかにリーダーシップを発揮できるよう自分自身のリーダーシップ型を進化させ続けることが重要だと思います。

異文化コミュニケーション能力

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コミュニケーション能力は上記2つを体現するためにも必要不可欠で、発信範囲がグローバルとなるとCross-cultural communicationが必須となります。ここで気をつけたいのは今や宗教、人種は多様化していますので、決まったcultureに落とし込むのでは不十分であり、むしろ誤解を生む場合もあるという点です。発信先メンバー一人一人の考えや信念などを可能なかぎり考慮に入れて、必要であればクリアに確認しながら、その人にあわせた形でのロジカルなコミュニケーションをする力とまめさを磨いていきたいものです。

また、一般的にグローバルと日本のやりとりの中では「日本人は普段黙っているけれども、説明しだすと細かいことを長々と続け、結論が何なのか、何を求められているのかよくわからん」と思われる事がまだまだあるようです。これは何もグローバル環境下に限った話しではなく、日本人同士の会議でもあることですが、特に空気を読むことをしない世界を相手にする場合には思った時点、気が付いた時点で口を開く、こちらからも空気を読まずにずばり結論からはじめ、聞き手の興味に合わせて説明をブレークダウンしていくロジカルコミュニケーション能力をつけることは意識して磨いていかなくてはなりません。

さらにグローバル環境下のコミュニケーション能力を磨くのに一番重要であり不可欠だと思うことは、場数を踏むこと、もっと言えば失敗を積むということです。試行錯誤しながらも、場数をこなすことが唯一「異文化」に適合していく方法と考えますし、作った場の数だけその能力を鍛えていくことになると考えます。

さて、ここまで3つの能力について挙げさせていただきましたが、これらは何も異色のキャリアの人ではなくても挙がってくるものなのかもしれません。自分としてももう少し面白いものが出てくるのではと期待していましたが、すみません、やっぱり現時点ではこの3点と考えています。

ただ、異色のキャリアからの視点で強調しておきたいことはあります。それはそのフィールドでの専門知識が深いほど、これらの能力を磨くことを疎かにしていないかということです。日本人の技術や専門知識レベルは高いですし、その上勤勉ですのでそれら技術、知識の研磨は欠かしません。ただグローバルチームに入った時にその良さを分かってもらうのに時間がかかる、または本来チームを引っ張れるトップクラスの技術や知識があるのですが、なかなかリーダーとして認識されず意図する方向に議論を持っていくことができないことがあると感じています。専門知識は高いことに越したことはありませんが、平行してゆるぎない信念を持ち、強くしなやかなリーダーシップ、ロジカルなコミュニケーション能力を鍛えていくことはグローバルで活躍するためには必須な要素であり、意識して磨き続けていくべきものと考えます。

グローバルで活躍するために必要なのは、何も特殊な能力だけではありません。(Bond-BBT MBA事務局より)

今回の記事はいかがでしたでしょうか?熊野さんも記事の中でご指摘されていますが、グローバルで活躍するためには何もスーパーマンのような特別な能力が必須であるというわけではありません(もちろん、そのような力があればなおさら良いわけですが)。

ただ、だからこそ、その鍛錬を疎かにしてしまいがちだということもあるのではないでしょうか。とてももったいないことですね。基礎となる力、必須の要素だからこそ、地道にしっかりと鍛え上げていきたいものです。

熊野さんは2016年1月から、同じ製薬会社内の後発品も取り扱うアジアパシフィック部門に移りアジア各国に新しい戦略をインプリメンテーションする仕事を始められたとのこと、夢に向かって一歩を踏み出されたようですね。今後のますますのご活躍を心からお祈りしています!

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【第1部】なぜ、ピアニストからグローバル製薬会社のプロジェクトマネージャーに転身したのか?
【第2部】軸がぶれない人になるためには?
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