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業界の“常識”に縛られるな!創業の肝は“自由な発想”にあり。

本日からBond-BBT MBAプログラムの修了生によるオンライン勉強会(連載記事)の第3弾がいよいよスタートします!今回は、22期生の福田徹さんです。福田さんは、以前別のインタビュー記事でもご紹介をしましたが、野村証券、ソニー生命でお勤めになられた後、福田総合研究所というコンサルティング会社をご自身で設立。現在もIRを中心にコンサルタントや研修講師、大学の講師として各方面でご活躍されていらっしゃいます。その中で、創業のご相談をいただくことも多く、創業支援にも携われていらっしゃいました。

これから1年間にわたってお届けするオンライン勉強会では、福田さんの専門性・ご経験を踏まえて「創業前~IPO後に大切にしておきたいこと」にフォーカスして記事をご紹介していきたいと思います。

これからオンライン勉強会の記事を書いていきますが、基本的にはすべて私の経験談です。皆様がおかれている状況に当てはまるかどうかわかりませんが、何かお役に立てる内容になっていれば光栄です。

今回は創業について。今まで会社員生活をしていた方が創業するに際しては、かなり勇気のいることだろうと思います。創業して失敗したら恥ずかしいな、家族を説得できるだろうかなどと思われている方もいらっしゃるでしょう。しかし、それでは一生創業することはできません。また、事業のアイデアを考えるだけの人も同じです。考えているだけでは、決して起業できません。何よりも行動に移すことが大切です。そして、自由な発想をもって取り組むことが大切ですが、会社員生活が長ければ長いほど、創業後の自由な発想の幅が狭まる傾向にあると私は思っています。

創業は誰でもできる。ただし、継続・拡大していくためには自由な発想が不可欠。

さて、創業することは誰でもできます。手続きを踏めばいいわけですから。しかしながら、継続していくことこそが経営者としては重要なことです。ましてや拡大していくことは重要ですが、かなり困難なことです。ゼロから売り上げを生み出し続けることは大変です。私は会社員15年、個人事業主8年、会社を起業して11年になります。今でも、会社員生活がもっと短いほどもっと自由な発想ができたなと思っています。というのは、会社員は、上司や会社の方針に従い事業を展開しますが、経営者はすべて自分で決め行動をしなくてはなりません。指示がない代わりに、自分で動ける、逆に、指示がないので自分で経営をしないといけない。それが妙味であり、また様々な発想が必要となります。ただし、創業時は会社運営のすべてを行うことです。そこで、初めて知ることが数多くあることに気づき、発想も豊かになります。

起業に際しては、今までのメンタルブロックを取り外す必要がありますね。経営には正しい答えは一つだけあるとは限りません。自分が考えたビジネスモデルを達成するにはあらゆる手順を考えどれが適切か考えないといけません。毎日、毎時間判断の連続です。判断は人に頼ることができません。また自由に判断していいわけです。

例えば、起業の形態一つとってもこうでなければいけないということはありません。私の場合は、創業時は、他の会社に自席を設け、人を雇って少ない資本金で仕事を始めました。最初から形式にとらわれる必要は全くありません。また起業前にこれなら絶対大丈夫だ、と思ったことは思い通りにならないことがほとんどで当初の仕事のやり方、ビジネスモデルに固執しないことも重要です。

独立するのであれば、たとえ既存業種であっても決して最初から業界のルールに従おうとしてはいけない。業界の常識を打ち破るために起業するのが正解です。例えば、著作権を考えていたらブックオフは生まれなかったですね。理容院は、水を使わないといけないという業界ルールにとらわれていたらQBハウスは生まれなかったですね。

実行可能な戦略を立てることの大切さ。意外とそれが、できていない。

さらに、実行できる戦略かということも重要です。私も創業についてご相談をいただく機会が多いですが、数字だけが独り歩きしている事業計画が多すぎるように思われます。なぜそのような計画になるのか?根拠が乏しく、読みがあまいと思うことも多々あります。本当に実行できるかよく想像力を働かせる必要があります。多くの人はそれでも「このビジネスは絶対大丈夫!」と言います。そんなことは絶対ありません!言われてみると当たり前のことだと思われるかもしれませんが、当たり前のことほど実は難しいのかもしれません。

私は経営にはMBAの知識が必要だと思いBOND-BBTで勉強をしました。MBAで学んだフレームワークや各科目の内容は大変役に立っています。少なくともビジネスの方向性を決定し、そこに向かう戦略をいくつか検討することができるようになります。いざ動き出したときに間違えるのは当然のことです。間違えることで事業の方向性が分かってくるのです。

創造力のない人はいない。創造力を発揮させる行動を。

起業をすると何とか事業を成功させないといけないと思い必死で頑張ります。社長は、当たり前のことですが、会社員ではないので就業規則も関係ありません。一方、何の保証もないのが社長です。逆に言うと、自分の好きな時間に、好きな時間に頑張ればいいということです。私は、よく海外に行って日本の常識に凝り固まらないようにいろいろと事業について考えます。日本の中の市場を見ているだけではダメだと思っています。この一年間でも、釜山の魚市場、上海の公園、セブ島のリゾートホテル、台湾の中華料理店、米国アリゾナ州の砂漠地帯の丘陵などに行って、今後のビジネスの展開に役立つことはないかと考えました。自由に行動することは不真面目ではありません。楽しんで働くことは発想を広げるためにも重要です。

起業に際しては、何も今までやった事業に固執することはありません。その道の専門家だからといってそのビジネスで起業して成功する確率は高くありません。社員として生き生きと働いていた方がよっぽど良かったという例もたくさんあります。事業は従来型の業務の範囲で発想しないことです。自由な発想をすることが重要です。ばかげた発想も大切にとっておくと5年後位には現実になることも多いものです。日本人はとかく創造力がないと思われています。でも創造力のない人はいません。自分の考えには価値があるもの。それにこだわってみてほしいと思います。

私も日々いろいろと事業を考えています。もちろん内容は秘密です。次回からは創業時から成長期へ向けて具体的なお話をしていきましょう。

講師プロフィール

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福田 徹 氏
株式会社福田総合研究所 代表取締役社長
1984年3月早稲田大学卒業、豪州Bond大学大学院MBA取得。野村證券、ソニー生命(MDRT)を経て、2005年福田総合研究所設立。その間、証券英国現地法人にて、サッチャー政権の英国ビッグバン対応業務を行う。國學院大學で、財務分析、証券分析、関東学院大学でFP、武蔵大学で金融数学を講義、経済学部金融学科でファイナンス、ケーススタディーのゼミを担当。豪州のマードック大学ではマーケティングの客員講師。上場会社の社外取締役と社外監査役を兼務。中小企業から1部上場企業まで、各社のテーマに応じてコンサルティングを行っている。大手証券、地銀、地銀協、生保など多くの企業で研修も実施。

主な著書:「なぜ、会社の資金繰りが悪くなったのか?」(税務経理協会)、CFO協会のIRテキストブック監修、「IPOを目指す起業家及びIR担当者のためのIR実務」(電子書籍)、『「株式上場」が頭をよぎった経営者が読むIPO入門』(Amazon Kindle)。論文「証券アナリストとIRオフィサーの関係性について」。

判断の連続の中で、自由な発想で行動を起こし続けること。(Bond-BBT MBA事務局より)今回の連載記事はいかがでしたでしょうか?何事も行動をしないと前に進まない。当たり前のことではありますが、意外と当たり前のことほど難しいのかもしれません。頭の中で思い描いているだけでは絵に描いた餅です。

しっかりと事業計画を実現可能なレベルで考え、方向性が定まったら実現に向けて行動あるのみ!福田さんもご指摘されていらっしゃいますが、その過程でMBAで学んだフレームワークなどの内容はもちろん、得られたネットワークは大いに活きてくることになるのではないでしょうか。

行動するために学ぶ。起業をされる方に限った話ではないですが、その大切さを改めて認識したいものです。

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