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【第3部】現地の方々のためにならないビジネスは、決して長続きしない。(二宮祐さん)

先々週からスタートした、二宮祐さん(Bond-BBT MBAプログラム2期生として受講、現在大前研一が主宰する経営者ネットワーク「向研会」会員)の連載も今回が最終回です。「インド進出請負人」という異名をもち、現在は地図情報サービスを提供するゼンリンのインド支店長を務める二宮さん。インドでのビジネスを専門に、長い間インドでお仕事をされていらっしゃいました。

これまでは二宮さんの仕事内容やインドでビジネスをすることの醍醐味などについてインタビューをご紹介してまいりました。連載の最後となる今回は、最近増えてきているというインドでの日本人起業家の現状、BBTで学んだことがいかに仕事で活きているのかなどについてお話いただきます。

▼これまでの記事はこちら
【第1部】地図情報サービスを通してインドをもっと豊かに!インド進出請負人・二宮祐氏の挑戦
【第2部】“はじめて”の体験を通して人に感動を与える喜び ~未開の地を開拓していく醍醐味とは?~

Q. 日本のビジネスパーソンにとって、インドは進出しにくいイメージがあるかと思います。ただ、実際は20~30代の日本人が次々と起業されているという話をお聞きすることもあります。実際はいかがですか?また、インドでそのような方が増えている理由とは何だと思われますか?

ここ2~3年でたしかに増えてきていますね。現在、インドには日本人が約8,000名いるのですが、そのうち数十名くらいが起業しています。以前は全く聞きませんでした。インドで法人を0から立ち上げる経験を私はしてきたせいか、起業をしたいという方がご相談にいらっしゃることも増えてきていますね。特にサービス業でインドにないもの、かつ日本特有のものが中心ですが、一方でシリコンバレーから日本の起業家の方がいらっしゃいり、ITを駆使した最先端のビジネスのご相談を受けたりもします。

インドに住む日本人向けのサービスとしては、例えば、美容関係が最初でしたね。インドの方々は日本人の黒い髪に憧れをもっている方も多いです。そのイメージがプラスに働いているようです。日本でよく見るネイルもまだインドではこれからではないでしょうか。飲食業では実際、私の友人ですが大手メーカーの駐在員の座を投げうって起業したのですが、デリバリー巻き寿司などですね。単価を高水準に保ち、タンドリーチキン寿司やベジ寿司なんていうものもありますよ。無農薬野菜の宅配を始めた、日本人女性も友人もいます。

最近は日本人学生の就活に特化したインターン斡旋業というものも聞きますね。インドは英語が準公用語なので英語学習とともに英語環境での職場体験をすることで、力も身につきますし、就活をする上での良いPRポイントになるようですね。

今後、インドで起業をしようと考える方は増えてくるかと思います。理由は2つあると考えています。

1つ目は、駐在員を含めた在印日本人が増えてきている一方で解消されていない不便さがまだ多いこと。その不便さを解決するサービスを提供できる余地がまだたくさんあります。実は在印韓国人や在印欧米人も同じ課題を抱えており、在外外国人全体を見据えるとポテンシャルが非常に高いのではないでしょうか。在印日本人は実はまだかなり少数で在印欧米人はともかく韓国人、中国人は日本人の数倍インドに住んでいますから。

2つ目は、日本に閉塞感があること。日本に閉塞感を感じて出てくる人は多いです。伸び代があり成長し躍動感のあるインドマーケットにチャレンジしたいという方もいらっしゃいますね。そのような方々からお聞きするのは、日本人・日本企業は積極的投資をしないということ。低成長で人口は減り続け「内向き」「下向き」「後ろ向き」の日本国内だけを観ていたら、積極的な発想は出てくる訳がない、もっと幅広く海外を見て積極的な投資をするべきか否かを判断すべきだと思います。そうしないと、どんどん視野が狭くなっていく。

海外に出たいと言う若い人は激減していると聞きます。日本人はもっと海外を知り、相当な危機感を持つべきです。安住してはいてはますます収入は減り国力は弱り、日本は縮小、衰退をしていくだけでしょう。その傾向の中、インドで起業する方が増えているのは当然の事とも言えます。

Q.ちなみに、Bond-BBT MBAで学ばれていたことはインドでどのように活きていらっしゃいますか?

1つ目は、Problem Solverとして、解決できない問題はないというスタンスでビジネスに取り組めるようになったことです。事実を整理して問題の本質を特定し、課題解決することにつながっています。大前先生には、まだまだダメ、と言われそうですが(笑)。

2つ目は、世界中にあるネットワーク。向研会インド支部の代表を現在していますが、BBTの他のプログラムの方々ともつながるようになりました。それぞれのバックグラウンドは本当に様々で刺激となります。自分にとって大きな財産です。

3つ目は、学ぶ習慣がついたことでしょうか。知識などは陳腐化することも早いです。そのため、学んだら終わりではなく、学び続けなくてはならない。その習慣がついたことは大いに意味がありますね。BBTの視聴はインドでは欠かせません。

Q.最後に、海外でビジネスをしたいと考えている日本のビジネスパーソンにひと言、お願い致します。

3つお伝えしたいことがあります。「海外に出て活躍したい!」という話をよくお聞きしますが、次のことを考える必要があるのではないかと考えています。

1つ目は、海外での業績拡大は日本への貢献につながることを意識すること。つまるところ、「母国への愛国心」と言ってもいいのかもしれませんね。収益だけではありませんが、文化的にも日本にも良い影響が出ます。そのつながりを忘れないことです。

2つ目は、日本の常識は海外の常識ではないということ。

3つ目は、現地の方々のためにならないビジネスは長続きしないということ。我々は日本人ではありますが、現地で仕事をするのですから、そのことを忘れてはいけません。彼らの発展に貢献する事を念頭に置くべきです。

これらはしっかりと認識しておいた方が良いかと思います。

インドで長年ビジネスに取り組まれてきたからこそ見えてくることがある。(Bond-BBT MBA事務局より)連載の最終回である今回の記事、いかがでしたでしょうか?

「インド進出請負人」としての異名をもつ二宮さん。お話をお聞きしていて、そのご活躍っぷりは本当に目を見張るものがあり、私も驚きの連続でした。インドで長くビジネスをされてきた二宮さんからの厳しくも温かいメッセージは、ビジネスに携わる方々にとってとても参考になったのではないでしょうか。

まだまだ続く二宮さんのインドでの挑戦。今後のますますのご活躍を私どもも心からお祈りしています!

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【第1部】地図情報サービスを通してインドをもっと豊かに!インド進出請負人・二宮祐氏の挑戦
【第2部】“はじめて”の体験を通して人に感動を与える喜び ~未開の地を開拓していく醍醐味とは?~

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